中華一番!

食事アクションのパイオニア

 
作者   小川悦司
巻数   5巻+12巻(真・中華一番!) 合本続編等多数あり
あらすじ 四川の料理人劉昴星(リュウマオシン)、マオは料理修行で旅をしつつ成長していく。旅の途中に出会う仲間達とともに、力を合わせて様々な困難に立ち向かう。

 

真・中華一番!と完全連作なので一緒にご紹介。
不快な敵はきちんと倒し、事情のある者は改心していく、しっかりした少年漫画です。
少年物らしい破天荒なところが大ウケした作品でもあります。
裏料理界とか伝説の厨具とか、料理漫画だろこれ?と思うけど、まあ、中国〇千年の歴史があるからな、これはもう仕方ないな・・・

裏料理界
引用「真・中華一番!」合本版1巻
(小川悦司)より
チョウユさんの戸惑いは
そのまま読者の戸惑いだ。
裏料理界・・・?

無印の中華一番では、中華料理界の最高峰に当たる特級厨師を目指します。
広州の陽泉酒家で修行をし、メイリィを始め仲間と出会い、周囲の応援を背に特級厨師の試験に挑みます。
相当な難関であろうこの試験、チョウユさんのときは「粥で青春を表現する」がお題です。
何を言っているのかわかりませんが、チョウユさんはこれに合格したそうです。

なんとこの特級厨師、80年代まで中国で実在していた国家資格。
いかにもフィクションっぽいこの肩書が、まさかリアル資格とは。
単なる調理師といったものではなくてキャリアと技能が必要な、とても特別な資格。実際にマオの年齢で取得することは無理そうです。日本に来て活躍されている方もいるみたい。
「特級厨師が作った中華を食べる」中華一番読者なら一度は経験してみたくない?

「真!中華一番」になると、みんな大好き裏料理界との激闘編。
厨具を探す旅の最中に料理バトルして、悪玉と対決して負けた奴が仲間になるという、もう王道な展開が待っています。水滸伝から梁山泊まで持ってきますからとにかくスケールが大きい。
五虎星と言われる五人の幹部は皆お見事な腕前。
長であるカイユ様の悪党っぷりに比べ、他の五虎星メンバーは憎めない奴ばかり。
ミラ様のラストあたりの変わりっぷりときたら、シェルにリザーブされるだけのことはあります。

伝説の厨具
引用「真・中華一番!」合本版1巻
(小川悦司)より
読者の気持ちをシロウが代弁している
伝説の厨具・・・?

昔の中国というなんでもアリアリな設定なので突拍子もないことが大体許されるのも本作の良い(?)ところ。
だいたい万里の長城を使って料理すんなよ。
間違いじゃないです。万里の長城を「使って」います。料理漫画は好きでいろいろ読むけれど、今のところ最大の調理器具。

料理漫画と言えば調理中や食中食後の解説。これが本作はとにかく上手い。
ルビの振りかたがいちいち大げさなんだけど煩くなくてすんなり読める。「大宇宙(ビックバン)焼売」とか。
ただ作り方を説明しているだけではなく美味しさを伝えてくれて、読むと中華が食べたくなります。

そして料理を口にしたときのアクション!
料理物と言えば見せ場は食事シーンなのでオーバー気味になるのは当然なのですが、
中華一番以前と以後で、料理漫画のアクションという部分が何かが変わった気がする。そんな意味でパイオニア的な作品です。
料理食べて裸になるとかおかしいでしょ?美味しいもの食べても脱がないでしょ?少年漫画に何故か必要らしいお色気シーンと料理漫画のクライマックスである食事シーン。これを融合させたんだから盛り上がるのは必然。
最初のころはそんなに脱いでなかったんだけど、いつの間にやらとにかく脱ぐ脱ぐ。これは新しい極シリーズでも健在、というかパワーアップしていないかこれ?

食事アクション
引用「真・中華一番!」合本版3巻
(小川悦司)より
一口でこのリアクション、素晴らしい

さらに出てくる料理がとても興味深い、これはやはり中国〇千年。
パンダ麻婆、球形のおこげ、笑う饅頭、動く海老餃子。突拍子無さそうでありながら、きちんと手順を踏めば作れそうなものが多いです。梅干し使った炒飯とか普通に美味しそうだし(炒飯の遠投はできないけど)。
もちろん漫画ですから、絶対に再現できないものもあります。河を燃やして魚を焼くとかさ、無理。スケールでけぇよ流石アルカン様。
個人的にはパンダ麻婆を食べてみたいもんです。作るのは素人には無理そうで、でもすごーく気になる。

主人公は真っ直ぐで正しくて自分の道を進んで行く男の子。特技も血統もあってライバルも相棒も居て、可愛らしい恋もする。見ていて清々しくなるくらい主人公。
お仲間キャラは強く優しく少し抜けていて、そして得意ジャンルが異なる凄腕料理人ばかり。味方の布陣として完璧なメンバーです。レオンとシェルの掛け合いが好きだなあ。

アニメ化は知っていましたが、中国で実写化されていたんですね。これは知らんかった。
料理界が「光明派」と「暗黒派」に分かれているんですって。
そんで伝説の厨具を全部揃えると龍厨大戦で必ず勝てるから、そのために厨具を探す旅に出るんだけど、旅の途中で暗黒派の刺客が次々と料理勝負を挑んでくるそう。これはどうにかして入手すべきだろうか。

昔、この漫画が仲間うちで大流行し、
麻婆豆腐を作ったり店で中華を食べたりするたびに「ヘビーすぎるぞ」と言ったもんです。
とにかく楽しく読める料理漫画。少年物の熱さと料理の融合ではトップだな。
電書では合本版をおススメ。途切れることなくグイグイ読ませてくれます。