将太の寿司

おのれ笹寿司

 
作者   寺沢大介
巻数   合本版13巻(無印7巻+全国大会編&WorldStage6巻)
     通常版48巻(27巻+17巻+4巻)
あらすじ 小樽の巴寿司、息子の将太は父と同じ寿司職人への道を歩む。笹寿司の執拗な嫌がらせにより経営難となる巴寿司の再建、そして日本一の寿司職人になるという目標を抱き、将太は東京の鳳寿司で修行する。

  

合本版をベースに無印から続編までご紹介。それぞれこんな感じです。
【無印】小樽で頑張った後に上京して修行してコンクールに出るぞ!笹寿司うぜぇ。
【全国大会編】無印のコンクールは東京予選、次は全国大会だ!笹寿司もうやめてくれ。
【WorldStage】息子世代が弾けるぞ!笹寿司はもう大丈夫だ。

無印は、合本1巻前半はパイロット版のような作品です。将太の母は生きていて東京出身。鳳寿司に来て1年、17歳の設定。鳳の親方も大政・小政さんもいるけれど設定が違います。一話完結タイプの人情物。

1巻後半からは皆が知っている「将太の寿司」に。
将太は中3、まだ子どもっぽさが抜けていないあどけない顔立ち。身体を壊した父のため、そして妹の笑顔を守るため、家業の巴寿司を手伝います。
クラスメイトの笹寿司の息子・笹木は「将太が嫌い、気にいらない」のみで巴寿司の商売も嫌がらせしてやるぜ!お前の父親にもなんかするぜ!と、酷い嫌がらせを繰り返す。この執着はこの後も長く続きます、ストーカーだな。

引用「将太の寿司」合本3巻(寺沢大介)より
将太の成長に感慨深い父ちゃん

さて小樽で頑張った将太、鳳寿司の親方に気に入られて上京することに。
この時点で15~16歳。職人の世界は高校進学せず入門する話を聞きますが、今でもそうなのかな。手に職付けるなら早いほうがいいのはわかります。
時代背景はいつ頃なのかを確認してみました。佐治さんが鳳寿司を出るシーンで生まれ年と年齢がわかるので、そこから計算。佐治さんの生まれは昭和42(1967)年で、この時点で26歳ということは、コンクール出場のあたりで平成5(1993)年ということになります。バブル崩壊の波をおもいっきり受けているころですね。まだ昭和が抜け切れていないし、中卒即入門は当然なのでしょう。
悲惨な過去を持つ登場人物も続々出てきますが、やはり昭和感たっぷりです。

新人寿司職人コンクールに出場する将太、さあがんばるぞ!
なんとか決勝戦進出。ここから「柏手の安」がパンパン手を叩き始めてうるせぇなあ。
その決勝戦第一課題は「酢飯(シャリ)」。その1問目は生米3皿、2問目は水の入ったコップが3つ出されて「シャリにしたとき一番美味しいもの」を選ばなければならない。超人かよ。我らが将太はここで高得点が取れるのか?
課題がバンバン出てくるその間も、人情に訴える話がぎっちぎちに満載、初美ちゃんよかった、よかったねぇ。最終課題の「寿司一人前」ここで芽ネギのお寿司が登場、裕一くんの思いは忘れないよ!
と、子どもを使ったお涙頂戴話がガンガン出ます。

引用「将太の寿司」合本5巻(寺沢大介)より
安の柏手無双

コンクールも無事に終わって鳳寿司のツケ場に立つことを許された将太、次に立ちはだかるのは武藤鶴栄、このひとも将太ストーカー。武藤はなんなの将太のこと好きなの?生き別れた父とかなの?お父さん小樽にいるけど。
そしてとうとう北海道から本州へ進出を始めた笹寿司。おのれ笹寿司。くさったカキをおじいちゃんの顔に押し付ける笹木、もう人としておかしい。

引用「将太の寿司」合本7巻(寺沢大介)より
笹木のキチ〇イ行為

そして「全国大会編」へ。
笹寿司は将太の嫌がらせのためなら全国どこでも行ってやるぜヒャッハー!笹寿司四包丁っていう悪役も用意したんだぜ、お前のためだぜゲヘヘヘヘ!オマエが嫌いなんだぜ将太ぁ~!!寿司漫画です。

なんだかんだで全国大会の準決勝・九州対決まで進んだ将太。
審査員には、おなじみのパンパン叩く安、将太が気になって仕方ない武藤、そして初登場の眉毛を上げ下げするおじいちゃん岩崎翁がいます。
この九州対決がすごい。小宇宙(ミクロコスモス)を感じる白身の握りを再現したり、引いたカードの色と同色のちらし寿司を作らされたり、魚当てクイズしたりここで大年寺さーん!、誰も食べたことのない未知の海老握りを作れとか、最高の寿司職人になるにはここまでの茨の道を歩まねばならないのか(ちがう)。

笹寿司の執着は無印からずっと続きますが、ラスト近くでなんと、将太は笹木に、自分の握りを食べてほしいと言います。なに将太おまえ菩薩?。
将太の優しさとひたむきさに触れ、彼の前では誰もが、そう笹木までもが心を開く。それもこれも全て寿司のおかげ。寿司ってスゲーな。

悪役側のトップは当然笹木ですが、お仲間キャラもたくさん登場します。やはりここは大年寺さんをピックアップでしょう。無印からWorldStageまで出演し、将太を導く大人でいながらライバルとなるサムライ。大年寺さんがいたおかげで将太は大きく成長しました。
ホームに落とされ電車と衝突した事故の翌日に寿司を握る大年寺さん、ふんどし一丁で素潜りし素手でウツボ漁をする大年寺さん、濡れた身体を自らの闘気で乾かす大年寺さん、ああ大年寺さん。
出てくる漫画を間違えているとネットで書かれるだけのことはあります。

引用「将太の寿司 全国大会編」合本3巻(寺沢大介)より
かっこいい大年寺さん抜粋

合本版の最終巻は「将太の寿司2 WorldStage」となっていて、本編から20年後の設定。本編の息子たちがわらわら出てきます。将太の息子は将太朗。「将太」は別にいて、こっちの将太は勢いのついたバカです。フランスで本場の寿司を広めてやるぜ!と手ぶら同然で渡仏しています。
本編が職人の伝統だとすれば、こちらは新しい寿司の形。外国人がツケ場に立ったり、いわゆる寿司ネタ以外のネタを握ったり。これはこれで興味深い寿司が出てきます。そしてここでも大年寺さーん!

本作はWikipediaに「関口将太の全寿司勝負」という項目が設けられています。なんだこれ。
日本のWikiは漫画作品に熱を入れすぎているというのはどこかで見ましたが、こう、もっとこうさ、なんかあるだろう他に。本作は、私の中での少年料理漫画マジ〇チトップ3に入るのですが(あとは中華一番とジャン)、このトップ3の中でもWikiに勝負の判定まで乗ってるのは本作だけ!
(ミスター味っ子のWikiはもっと充実してるよ)

人情物で努力して、手強いライバルが味方になって、なかなか会えない彼女がいて、憎い悪役が行く手を阻む中で勝ち上がる。長期連載も当然。
日本の伝統である寿司。寿司漫画では一番キャッチーな本作、誰もが一度は読むべき面白さです。

※2020年6月時点でAmazon Anlimitedに合本版が入っていて全部読めます