うちのダンナは野菜バカ。

あふれ出る青果愛

 
作者   小鹿リナ
巻数   1巻
あらすじ 旦那様のタカシさんは青果を愛する仲卸。青果流通から野菜果物ネタまで満載の一冊。

「八百森のエリー」の下敷き・元ネタになっている、青果市場の仲卸で働く旦那様のお話です。
夫や妻が〇〇系のエッセイ漫画は沢山あるけれど、すごく雑にわけると「外国人」と「職業」の二つ。本作は職業系。語り手は作者、旦那様のタカシさんは宇都宮青果市場にお勤めです。

市場の方と一般的な会社員では働く時間帯が違い過ぎるし、仲卸となると、小売りや農家より知り合う機会も少ない。なんとなくしかわからない仲卸の仕事に輪郭をつけてくれます。

引用「うちのダンナは野菜バカ。」
(小鹿リナ)より 仲卸の説明コマ

そして単なるお仕事紹介の漫画ではなく、タカシさんの青果に向ける愛が重いしつこいウザい。
野菜の小ネタは買い物や料理のヒントになるから助かるけど、愛がキモ重い。ギャグ寄りな作品なので誇張はあるにしろ、これはもう偏愛。
オマケページにTwitter引用が出てくるのでちょろっと見てみましたが、ほんとこんな感じでした、青果愛があふれ出ていた。

タカシさんは取り扱い青果全般に詳しく、商社の人がナッツを取り出し「糖度順に並べて」と言えば即対応。匂いだけでスムージーに使った野菜を全て当て、パセリの栄養価もスラスラ出てくる。うちはパセリカレーよく作ります。
そしてタカシさん担当のみかんについては愛しさが止まらず抑えきれなくなっている。みかん農家の方ともSNSで繋がり独自のネットワークをお持ちのご様子。
商社マンで果物輸入をしている山田さん、スーパーのバイヤーの谷さん、お二人とも取扱物に並々ならぬ愛を見せますが、それよりタカシさんが好き。取引先の方に好かれるのは仕事ができる証拠。

引用「うちのダンナは野菜バカ。」
(小鹿リナ)より
くだものうんちくを語るタカシさん

会社全体でトラブルに対応する場面やお祭り参加のエピソードを見るにつけ、人の繋がりや信頼が大事な職場なんだろうと思います。
いやどこにいっても大事なことではあるけれど、自然相手の農家と小売りを結ぶ位置で、それを繋げて信頼を重ねるっていうのは半端なことじゃない。ただ目の前の仕事を片付けて終わり、ではないからこそ、お祭り参加にも意義があるんでしょう。まあ単純に祭り好きなのもわかるけど。

事務仕事でも接客でもなく、モノづくりの製造業でもない。農家とかかわりは深いけど作物を作るわけでもない。ナマモノの流通という職場を垣間見せてくれる、なかなか無い作品です。
生産者と消費者の間には必ず流通があり、流通もひとつじゃない。仲卸という位置と仕事内容を、をわかりやすく魅力的に描いています。

気に入った・気になったなら「八百森のエリー」も。本作は4コマでギャグテイストですが、エリーはストーリー物でシリアスでフィクション。舞台設定や登場人物は本作と被っています。野菜バカとエリー、合わせて読むのをおススメ。
農業と流通の仕組みもより理解が深まります。もちろん青果への愛も深まります。

引用「八百森のエリー」3巻(小鹿リナ)より 
エリー(左)、のりたま(右)