マチ姉さんの妄想アワー

改変おとぎ話

 
作者   安堂友子
巻数   上下2巻
あらすじ マチ姉さんは弟・トシを寝かしつけるために、姉さんの中で改変されたおとぎ話を語ります。

 

日本や世界の有名なおとぎ話や童話、寓話をひねっていじって四コマにまとめるテクニック。誰もが知っている元ネタばかりで、元ネタの本筋を現代風に改変し、それをマチ姉さんが語るという形式です。

単発だと浦島太郎の天然ガス理論、シリーズでは未来のカチカチ山が好き。
おとぎ話は時代に合わせて実際に少しずつ改変されているところがあるといいます。おばあさんを汁にしちゃったりタヌキを燃やしたり溺れさせたり撲殺したりと、教訓が含まれているんだけれどもリアル表現じゃビジュアルがきついので多少はソフトな描写になるのでしょう。
それを違う方向でやりすぎたのが未来のカチカチ山シリーズ。本作では改変の方向が違うのでご安心ください。

引用「マチ姉さんの妄想アワー」下巻(安堂友子)より
未来のカチカチ山シリーズに出てくるタヌキ

頻繁に出てくる中で目立つのは泉の女神と鶴の恩返し。
女神のほうは時代違い設定で、現代のモノを泉に落とすのがパターンだけど、その落とすものが多岐に渡りすぎでマンネリになりません。
鶴はシチュエーション違い。「助けた鶴が尋ねてくる」「覗いてはいけない」基本的にこの二つを固定して、それ以外のところで攻める。
元ネタひとつに対するIFの引き出しが大量すぎます。

引用「マチ姉さんの妄想アワー」(安堂友子)より
下巻抜粋 泉の女神(上)、鶴の恩返し(下)

童話が元ネタだとお姫様が多く出てきますが、シンデレラもかぐや姫も逞しく現代風でコミカル。もちろん王も王妃も王子も今どきの考え方で周囲を翻弄。
西洋だけではありません、桃太郎のおじいさんおばあさんや金太郎のクマも、耳なし芳一や弁慶と牛若丸も大活躍。

引用「マチ姉さんの妄想アワー」(安堂友子)より
上巻抜粋 上から「シンデレラ」「美女と野獣」「かぐや姫」

語り手は自他ともに認めるポンコツのマチ姉さん。夜な夜な内職し、不在がちな親に代わって弟トシの面倒を見ています。
マチ姉さんのポンコツは全方向。男性の出会いからハロウィンの解釈、果てはお雛様の飾り方に至るまでひどい。
そしてどうやらポンコツは家系。おばのソノさんは究極の方向音痴、長兄ケンは自分がどんな仕事をしているのか理解していません。次兄のイチ兄ちゃんはしっかり者に見えますが、この家系の中で、というだけです。たぶんトシが一番マトモ。小学生のトシ、頑張れ。
後から双子のサト&クニ姉さんズがいることも発覚します。毎回、最初と最後がマチ姉さんとそのきょうだいネタ、それに挟まって改変童話が入る構成。
きょうだいや友人、トシの同級生ネタなど、少しずつ広がっていきますが、マチ姉さんだけはずっと変わらず・・・いえポンコツに磨きがかかっています。

引用「マチ姉さんの妄想アワー」上巻(安堂友子)より
内職中のマチ姉さんと弟のトシ

「マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー」と改題されて新たに連載しています。いつどこから読んでも面白いマチ姉さん、まだまだ読めるのが楽しみです。