BOX~箱のなかに何かいる~

サスペンスモロ漫画

作者   諸星大二郎
巻数   3巻
あらすじ 差出人不明で届いた箱根寄木細工の箱。開けたときの出来事を発端に、箱が届いた者達は各々の箱を持ち、箱へ入る。箱を持たずに同行する女、そして箱で出会った少女は・・・

 

モロ漫画について今更の説明は不要ですが、
本作の感想は少ないみたいなので、あえてこちらをチョイスしてみました。

高校生の元に、いきなり届く寄木細工。結構簡単に開いてましたが、
あれねー凝ったやつは手順30回とか50回とかあってほんとわかんないんです。
風が吹いて、謎の女が出てきて、顔も部屋も欠けていて、
何が始まるのか気になって仕方ない第一回。

時折見せる女性の艶めかしさ、コミカルと不安を足しっぱなしのクリーチャー。
相変わらずの魅力的なキャラクター。
主人公の光二だけでなく、箱に入るひとは皆何かしらのプライベートな問題を抱えています。
それぞれが、解決したくても簡単にはいかないものばかり。
その問題を抱えたまま、恐る恐るながらも誘われるように箱へ入っていきます。
この、それぞれの問題を箱の中で解決できるのかしら・・・と思いきや、
もちろんモロ漫画ですからそうはいきません。
一緒に箱に入るメンバーの中で唯一幸せそうな谷夫妻。
お二人だけは綺麗に解決したと言っていいのかな。
ラストに向けての疾走がすごい、崩壊、安堵、喪失、そして終わりへ。
良質なサスペンスです。

引用「BOX~箱の中に何かいる~」2巻(諸星大二郎)より
10話表紙 紙折り謎解きのため上半分のみ
引用「BOX~箱の中に何かいる~」2巻(諸星大二郎)より
10話表紙 紙折り謎解きのため上半分のみ
智恵子、恵、化物、光二、化物、キョウコ、山内、甲田

毎話ごとの表紙ではパズル的なものが描かれています。
間違い探しやだまし絵で手を止めてしまう。
諸星タッチで描かれただまし絵は独特の味で、ファンにはそれがたまらない。
この、パズルが常に出題されていたことが、ストーリーの伏線とでもいうか、
違和感を感じずに作品内に入れるようにしているように見えます。
一番最初の箱もパズルですものね。

言い尽くされていますが、本当に不思議な絵柄。
野暮ったくも見えるのに美人な女性や恰好いい男性、ものすごく惹かれます。
この絵柄で敬遠されることもあると思います。
実際に、友人に勧めても読んでもらえず悲しかったことも。
主人公やヒロインの女性は、肌を出さずとも退廃的な色っぽさがあるし、
化け物・妖怪たちのあの造形といったら、あんなんなのに憎めない。
たまに出るかんたん作画の笑顔がなんとも愛らしい。

諸星初心者には「栞と紙魚子」「妖怪ハンター」シリーズや
グリムを薦める方が多いと思うのですが、
本作は全3巻で手を出しやすく、妖怪やクトルーちゃんとかを知らなくても大丈夫なので、
初めてのモロにもよろしいかと存じます。
いきなり暗黒神話とかに行かずに軽めから入っていただき、
最終的には西遊妖猿伝を揃えるまでに成長してくださることを期待しています。